~労働者派遣法とその問題点とは~
労働者派遣法は、これまで何度も改正案について検討されてきました。
今回は、現在検討されている改正案とその問題点について解説します。
1:届出制の撤廃
これまで、一般労働者派遣事業は許可制だったのに対し、特定労働者派遣は届出制で運用されてきました。しかし、改正案では行政の監督機能を高めるためにこれらの区別をなくし、すべての労働者派遣事業が許可制となります。
2:派遣期間の制限の変更
■現在
派遣の内容が専門業種である28業種に該当するかどうかでその扱いが変わります。この28業種に該当する場合は3年を上限とする期間制限があり、それ以外の場合は無期限という扱いです。しかし、運用上、この28業種の括りがわかりにくいという懸念もありました。
■改正案
改正案では、このわかりにくい28業種の区分をすべて撤廃し、そもそも有期雇用なのか無期雇用なのかで区別する形をとります。そして、有期雇用だとしても、労働組合との労使協議を経て支障がなければ人を変えることで派遣を継続できるようになります。つまり、同じ人の派遣は3年が限度であるが、人を変えることで派遣社員を継続的に利用することができるということです。
3:派遣労働者のキャリアアップ
派遣元と派遣先の双方に対して、給与、福利厚生などの面において待遇強化が義務化され、さらに派遣元は派遣労働者の教育訓練の実施を義務付けられるようになります。
~労働者派遣法の問題点~
労働者派遣法の改正は、非常に難しい判断が必要になります。なぜなら、派遣労働者の地位向上を考えて、派遣労働者を全面的に保護するような改正を行えば、派遣労働者人口が増え、正規雇用社員が減る自体も想定されます。また、政府は派遣労働者の待遇を、同じ職場で働く正規社員の待遇に近づけるよう要請していますが、現実的には難しいのが現状です。
また、今回の改正案では、派遣の期限が労使協議が必要とは言うものの、実質的に人を入れ替えることで継続的に人材を確保する事ができるようになるため、作業のマニュアル化が容易な企業においては、正規雇用社員を派遣社員に切り替えるのではないかという懸念もあります。
労働者派遣法問題点
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