~さまざまな労働問題に関する相談~
労働問題とは、雇用主である使用者と労働者である被用者との間で起こる紛争で、主に次のようなものがあります。
■残業代の未払い問題
ブラック企業という言葉が囁かれるようになった昨今、残業代の未払いに関する相談は増えています。残業代とは、所定労働時間をすぎて労働力を提供した場合に支払われる賃金です。労働基準法では一日8時間、週40時間(一部の業種は44時間)という法定労働時間が決められており、企業はこの範囲内で所定労働時間を定めることができ、その時間を超過した場合は残業代の支払い義務が発生します。なお、法定労働時間を超過した場合は、25%の割増賃金を支払う必要があります。
ですが最近では「みなし残業制度」を導入している企業も多く、残業代の認識が使用者、被用者ともに曖昧になっている傾向があります。そのため、使用者の自覚がないままに、多額の残業代の未払いが発生しているケースも少なくありません。この場合は、弁護士や社会保険労務士に相談の上、未払残業代を正しく再計算し、企業側に請求することで解決を試みます。
■不当解雇問題
労働問題の中で最も相談件数が多いと言われているのが「不当解雇」に関する相談です。会社の経営状態が悪化すると、使用者は人件費削減のため解雇を検討し始めます。解雇には次の3つの種類があります。
〇普通解雇
遅刻や欠勤など社内規程や就業規則に反する行為があり、その改善が見られない場合に使われます。
〇懲戒解雇
就業規則で定める「懲戒事由」に該当する行為があった場合にする解雇です。懲戒事由には、無断欠勤、無断使用、横領などを設定しているケースが一般的ですが、就業規則に懲戒事由自体を定めていない中小企業も少なくありません。懲戒事由が明記されていなければ、懲戒解雇はできません。
〇整理解雇
会社側の経営状態の悪化に伴い行う解雇です。普通解雇や懲戒解雇と違い労働者側の落ち度がなくても解雇が可能です。ですがその分、解雇通達を退職の30日前までに告知しなければならず、労働者側から反論などがあればちゃんと聞かなければなりません。会社が手を尽くしても整理解雇以外に経営を立て直す手段がないような場合でなければ認められません。
不当解雇は、こういった解雇の条件を満たしていないにも関わらず、企業側が一方的に従業員を解雇した場合に発生します。万が一不当解雇が行われた場合は、主に2つの解決方法があります。
1:解雇無効を主張し、引き続き企業側との雇用契約の継続を要求する。
2:解雇を受け入れる代わりに、金銭的な賠償により和解する。
■セクハラ・パワハラ問題
職場で受けたセクハラ、パワハラは先程までの残業代や不当解雇とは少し違い、第一義的には当事者同士の問題であるケースもあります。ただその行為がエスカレートすると、仕事自体に悪影響がおよび、酷いケースでは被害者本人がうつ病にかかってしまい退職に追い込まれてしまうこともあります。解決方法としては、企業も巻き込んで話し合いその行為自体をやめさせるとともに、金銭的な賠償を請求する形となります。また、企業は雇用している労働者に対して「使用者責任」を負っていますので、その使用者責任に基づいて加害者本人と企業側双方に対して慰謝料の請求が可能です。
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